ストレスによってなぜ腰痛が起きるのか

HEALTH ORIENTAL PHYSICAL PHYSIO WESTERN

腰痛持ちで神経質な方、治療していてもなかなか患者さんの腰痛が治せない治療家の方へ

このような方の腰痛に対する悩みの原因を解説します。

目次

  • 感情が腰痛の原因にもなりえる
  • ストレスが腰痛を引き起こす西洋医学的な考え
  • ストレスが腰痛を引き起こす東洋医学的な考え
  • 感情・思考・行動・発言の4つのタイヤ
  • まとめ

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感情が体の痛みを引き起こす


“感情が腰痛の原因にもなりえる” と言われてもパッとこない人がほとんどだとは思いますが、実際に起きることがあります。

これはいくつかの研究でも心理的要因と腰痛の関係性があるかもしれないと考えられ、ある一つの研究ではマインドフルネスという治療法が短期的に腰痛にいい影響を起こすかもしれないとも言われています。

実際の経験からも背骨が曲がってしまう症状の側湾症を持った方でストレス体質の傾向が強いようにも感じます。

それではこれらのことがなぜ起こるのかを西洋学的視点と東洋学的視点に分けて説明していきます。

ストレスが腰痛を引き起こす西洋医学的な考え

生理的現象

人は心理的ストレス(身体的ストレスも同じ)受けると視床下部が “副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン” を分泌し、その後、腎臓の近くにある副腎から ”副腎皮質ホルモン” が分泌されます。

この分泌される過程で、自律神経のうちの ”交感神経” にも作用し、血圧を高め、高血糖状態にして、心拍数の増大することでや身体が活動的な状態に変化します。

アスリートなどが『試合前にはある程度の緊張やストレスがパフォーマンスにいい影響を与える。』ということの裏にはこのような体の変化がありプラスに働きます。

しかし、これは短期的で適度なストレスの場合に限ることであって、長期的に高ストレス状態が続く場合は体にとってマイナスに働きます。

先ほど述べたとおり高血圧状態、高血糖状態にして、心拍数の増大は体を動かすためには必要ですが、これが続くとなると様々な病気を引き起こす可能性も出てきます。

また、交感神経優位により活性酸素が生成され体が酸化する方向に変化し、内臓の動きも悪くなります。

ストレスと腰痛の関係

自律神経が緊張することにより自律神経の通り道でもある背骨の周りの筋肉が緊張し始めます。これにより、背中に張りを感じることになり緊張が強まるといずれ背中の痛みとして感じるようになります。

また、内臓の動きが悪くなることでも背骨の周りの筋肉や肋骨についている筋肉を緊張させることになります。これは、以下の引用からあるように『内臓-体性反射』によって起こるとされています。

脊髄と脳幹の一次中枢は自律神経遠心性繊維によって出力を行うが、入力は自律神経系のみならず体性神経系によっても受けて自律神経反射を起こす。
前者を①内臓-内臓反射、後者を②体性-内臓反射という。さらに体性神経系の一次中枢は、自律神経求心性繊維を介する入力をも受けて反射を起こす。これを③内臓-体性反射という。
改訂第6版 シンプル生理学 より引用

さらに肋骨周辺の筋肉が硬くなることで、肋骨自体の動きが悪くなり胴体がうまく使えなくなってしまいます。このことにより背中の痛みだけではなく、腰の痛みも生じさせる原因の一つになります。

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ストレスが腰痛を引き起こす東洋医学的な考え

経絡治療

東洋医学を代表とする経絡治療では、感情の滞りが内臓の滞りを作ると言われています。感情の滞りとは、同じ感情を手放せず長期的に持続して持ちつづけていることによって起こるとされています。

例えば、気にくわないことがあってあなたが怒ったとします。人によっては一瞬で忘れてしまう人もいれば、数日もしくは数週間思い出しては怒りの感情が湧いてくる人もいると思います。

この状態が長ければ長いほど内臓の滞りというのが起こりやすくなります。

以下、表で感情と内臓の関係を示しています。

内臓 感情 症状
怒り・緊張・ストレス・せかせか めまい・頭痛・目の充血・昏睡
物事を判断し決断する 決断力の低下、消化吸収の低下
喜ぶ・気が緩む・緊張感がない状態 集中力低下・ぼんやり・倦怠感
思慮、思考の過多 食欲不振・お腹が張る・胃下垂・脱肛
悲しい・心配する精神活動 息切れ・倦怠感・無力感・便秘
恐怖・驚き 生殖・発育・骨・耳・失禁・月経過多

このように東洋医学では内臓と感情が関係していると言われています。

そして内臓の不調により身体の痛みを引き起こすという考え方があります。身体には主に14本の経絡が駅のマップのように張り巡らされています。

腰痛を起こす原因として代表的なのは腎臓に関係が深い腎経という経絡のバランスが崩れたことによって起こるとされています。

また他にも腰を曲げるときに腰が痛い場合は、膀胱に関係の深い膀胱経や肺に関係の深い肺経のバランスが悪いなど、体の動かす方向によってもどこの経絡のバランスが悪いかというように考える場合もあります。

以上のことから、ストレス(滞った感情)が経絡の不調を起こし、痛みを引き起こす可能性があります。

また、東洋医学でもアプライドキネシオロジーの考え方でも内臓と筋肉が関係していることが示されており、ストレスが最終的に筋肉の機能低下を起こし、腰痛が起きることも説明できます。

興味ある人は以下の記事も読んでみてください。
»【スポーツトレーナー必見】内臓の機能低下が筋に及ぼす影響

感情・思考・行動・発言の4つのタイヤ


ここまで説明してきた通り、長期的なストレスや感情の滞りが一番の原因だということはわかってもらえたかと思います。ストレスはどうしても受けてしまうものなので、長期的なストレスや感情の滞りを起こさないための方法が大切になります。
そこで以前『4つのタイヤ』という車を例えにしたお話を知り合いの方から学んで、役に立つと思ったのでここでシェアします。

人は初め何かが起きたときに何かを感じます。そして何かを考え始め、行動・発言をします。このプロセスは全ての人に共通するものです。この4つの事を4つのタイヤと車で例えて説明していきます。

外界からの刺激→1.感情→2.思考→3.行動→4.発言(1-4:4つのタイヤ)

現代の多くの人は、この4つのタイヤがそれぞれ別の方向に向いている状態です。そのためこの車はまっすぐ進む事ができません。まっすぐ進むためにはどうすれば良いかというと感じる事、考える事、行動する事、発言する事を一致させる事なのです。

つまり、感じた事を正直に考え、行動し発言するという事です。これは簡単のようで非常に難しく、なかなかあなたもできないかもしれません。多くの人は感じた事とは別の事を考え、そして考えている事とは別の行動・発言をしてしまいます。

例えばの話ですが、カップルが一組いたとして彼氏が彼女との約束を忘れてしまいました。そこでその彼女が怒って、彼氏に『ひどいじゃない、信じられない』といったとします。そして、怒ったそぶりを見せます。そうすると、それにつられて彼氏も怒り始めます、そして、二人の喧嘩が始まります。

この例は一見4つのタイヤが一致しているように見えますが実は感情と思考が一致していません。それはなぜかというとこの彼女が感じた感情はまず『寂しい』という感情です。一緒にいたかったということや一緒に入れないのは寂しいというのが第一に感情として感じ、その後に第二の感情として怒りが湧いてきます。

この例でこの4つのタイヤを一致させるには、寂しいという感情をしっかりと認識して、言葉に出して、態度にとる事です。想像してみてください。もしこの彼女が『寂しいよ』と彼氏に言っていれば状況はどのように変わったでしょうか。喧嘩は起こったでしょうか?彼氏は怒る事もなく彼女のためになにか行動をとるかもしれません。

上記の例からも分かる通り、4つのタイヤを一致させる事で内側の摩擦や他人との摩擦が少なくなり、内側の健康を維持する事ができるようになります。

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まとめ

  • ある一つの研究ではマインドフルネスという治療法が短期的に腰痛にいい影響を起こすかもしれないことを示している。
  • ストレスは背中の筋の緊張を高める。また内臓の機能低下も背中の筋の緊張を高める。
  • 長期的なストレス、感情の滞りが腰痛の原因になりうる。
  • 4つのタイヤを意識して、感情を流し滞りを無くすことができる。

以上のことより、ストレスによってなぜ腰痛が起きるのかということがわかっていただけたかとは思います。腰痛以外にも体の不調や痛みはストレスで起こることもありますので、ストレスを溜めないためにも4つのタイヤを意識してみてください。

また、内臓の機能を高める方法として、以前ブログにも書いていますので是非読んでみてください。
»食事で内臓をきれいにする7つの方法

引用文献

Anheyer D, Haller H, Barth J, Lauche R, Dobos G, Cramer H. Mindfulness-Based Stress Reduction for Treating Low Back Pain: A Systematic Review and Meta-analysis. Ann Intern Med. 2017;166(11):799‐807. doi:10.7326/M16-1997