【研究レビュー 5】筋力増強のためのサスペンショントレーニング 1

LITERATURE PHYSIO

こんにちは、ヒデです。

今回は、筋力増強のためのサスペンショントレーニングついて論文を用いて、サスペンショントレーニングの効果を見ていきたいと思います。

パート2もご覧ください。
» 【研究レビュー6】筋力増強のためのサスペンショントレーニング2

目次

  • サスペンション器具の種類
  • 違ったサスペンション器具の使用でのプッシュアップ時の筋活動の研究
  • サスペンショントレーニング中の体幹筋の活動の研究
  • サスペンショントレーニングエクササイズの中での体幹の筋活動の研究
  • まとめ

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サスペンション器具の種類

サスペンショントレーニングは通常、筋力トレーニングとバランストレーニングを同時にできることで知られています。このタイプのエクササイズは、自由度が高く不安定のものであり、使用するサスペンションのタイプによって、難易度が変化します。

そのため、方法論的な観点から述べると、滑車が取り付けられているサスペンション装置の使用は、滑車がないサスペンションよりも自由度あり大きな不安定性を伴います。 同時に滑車がないサスペンションは固定されて、より安定しています。

このことをよく理解するには、市販で販売されているエアロリング(プーリーを使用するAerobis Fitness Equipment)とTRX(ロープに固定点を使用する)を見てみるとよくわかります。


この写真では、左側にエアロスリングのロープが滑車をどのように通過するかがわかります。これにより、不安定性が大きくなります。右側では、TRXのロープの可動性が制限されているため、安定性が向上しています。

TRXは経験が浅い方でもエクササイズがエアロスリングに比べ簡単にできます。反対にエアロスリングは安定性を高める全ての筋の活性化と、より優れたバランスを含む難しいエクササイズが行えます。

さまざまなサスペンション器具の使用でのプッシュアップ時の筋活動の研究

Calatayud et al.(2014)らは、さまざまなサスペンショントレーニングの器具を腕の屈曲の動作を用いて比較しました。

比較の器具一覧

  • TRX Suspension Trainer TM (TRXO, San Francisco, CA, USA)
  • bungle Gym XT (LifelineUSA+, Madison, WI, USA)
  • Flying (Sidea, Cesea, Italy)
  • AirFit Trainer Pro (PurMotionTM, Pelham, AL, USA)

【目的】
さまざまなサスペンションの器具で腕立て伏せを行う際の上肢および体幹部の筋活動を分析する。
【方法】
最低1年間の筋力トレーニングと最低4か月のサスペンショントレーニング経験している大学生29人の男性のサンプルを使用。実行速度はメトロノームによってコントロールされ、上腕三頭筋、上部僧帽筋、前三角筋、大胸筋の鎖骨部、腹直筋、大腿直筋、および腰椎の伸筋の平均SEMG振幅が測定された。
【結果】
滑車を使用した器具が最も高い筋電図活動を示した。このタイプのエクササイズは、上腕三頭筋、僧帽筋上部、腹直筋、および腰部伸筋で特に最大ピーク値を生じさせた。一方、固定された器具では大胸筋と三角筋の活動が高まった。両方の器具で腹直筋に高いレベルの活動が記録された。
【結論】
サスペンショントレーニングは腹筋群のより高い筋活動レベルを達するための効果的な方法である。

使用されているすべてのデバイスの中で、TRXは高レベルの安定性を提供しますが、Flyingもそれに近いです。

著者によると、Bungle Gym XTは最も高い安定性を提供するそうです。最後の器具として、AirFit Trainer Proは、プーリーとスプリングを組み合わせていて、とても不安定のため安定させるためにより大きな力を必要です。

また、筋活動に関してはサスペンションが不安定であればあるほど、筋活動(特に腹部)は高まることが上記の研究通り考えられます。

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サスペンショントレーニング中の体幹筋の活動の研究

【目的】
サスペンショントレーニングは、体幹の安定性を改善する効果的な手段として提唱されていますが、体幹筋の活動の研究はあまりされていない。そのため体幹筋の活動レベルをこの研究で調査する。
【方法】
怪我のない若い成人を対象に、5秒のプランクポジションの等尺生収縮での股関節外転、ハムストリングスカール、チェストプレス、45度でのローイング(下の図)の4つのエクササイズ中に、腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、横腹横筋、腰部多裂筋からSEMGデータを収集した。
【結果】
股関節外転でのエクササイズが、計測されたほとんどの筋で最大活動が生じ、45度でのローイングのエクササイズでは、最低の強度を記録しました。プランクポジションでの股関節外転に続くより体幹の活動が高いエクササイズはチェストプレスでした。同時にハムストリングカールは腰部多裂筋の最大の活動をもたらした(このエクササイズは、大きな股関節と腰部の伸展運動を生み出した)。
【結論】
4つのエクササイズの中で股関節外転は、体幹筋を強化するのに最も適していることを示した。また、以前のサスペンショントレーニングに関する研究よりも比較的高いレベルの体幹筋の活動が見られることがわかった。


サスペンションを使ったトレーニングで体幹を鍛えたい場合にとても参考になる研究結果であると考えています。

また、多裂筋の筋活動も測っていたことは個人的にはとても興味深く、臨床にも使えそうだなと思います。

研究結果であるため、全ては鵜呑みせず他の研究も見ながら、現場に落とし込めていければいいのではないかと考えます。

サスペンショントレーニングエクササイズの中での体幹の筋活動の研究

【目的】
サスペンショントレーニングによる体幹トレーニング効果を知るために、roll-out, bodysaw, pike and knee-tuck (下の図) の4つの異なるエクササイズを筋電図で調査した。
【方法】
身体的に健康な17名を分析し、腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、上部と下部の脊柱起立筋の筋活動を研究した。
【結果】
roll-outとbodysawは、腹直筋および外腹斜筋の筋活動が最大のエクササイズだった。内腹斜筋、上部と下部の脊柱起立筋に関して、この4つのエクササイズ間で有意な違いを明らかにしなかった。
【結論】
これらの2つのエクササイズが腹直筋および外腹斜筋の筋活動に最も効果的な可能性があると結論付けた。また、肩の屈曲を伴う動作には腹直筋と外腹斜筋のより大きな筋活動が必要であることを示した。

この研究で重要なことは『肩の屈曲を伴う動作には腹直筋と外腹斜筋のより大きな筋活動が必要である』ということです。

肩の屈曲動作を取り入れることで腹直筋と外腹斜筋の活動が高まる可能性があることから、このことを踏まえて、トレーニングプログラムを計画することもできるかもしれません。

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まとめ

  • サスペンションの器具には種類があり、トレーニングの目的に応じたものを選ぶ必要がある。
  • サスペンションの器具の比較研究では、不安定性がが高い器具により高い体幹の筋活動が見られたため、体幹を鍛えるにはより不安定な器具を選ぶことが勧められる。ただし、上級者向けである。
  • サスペンショントレーニングの際のプランクポジションの違いにより体幹への筋活動の違いが見られる。
  • 上肢の屈曲動作を用いることで、腹直筋と外腹斜筋の筋活動を高めることができる。

以上のことから、サスペンショントレーニングでは体幹の筋活動を高めるために器具の種類やトレーニング法を考慮する必要があることがわかりました。

このようなことを考えながらサスペンションを使って、トレーニングの質を高めていってみてください。

引用文献

Calatayud, 3., Borreani, S., Colado, 3.C., Martfn, F.F., Rogers, M.E., Behm, D.G. and Andersen, L.L. (2014). Muscle Activation during Push-Ups with Different Suspension Training Systems. JSports Sci Med. JS (5), 502-510.

Mok, N.W., Yeung, E.W., Cho, 3.C., Hui, S.C., Liu, K.C. and Pang, c.H. (2015). Core muscle activity during suspension exercises. Sci Med Sport, J8(2), 189-194.

Cugliari, G. and Boccia, G. (2017). Core Muscle Activation in Suspension Training Exercises. J Hum Kinet. JS(56), 61-71.